気休めなもの。役立ちのもの。

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サルとイヌの共同ブログ

【お気楽映画レビュー:★★★】『何者』きっとあなたも誰かに当てはまる。

何者

何者

 

この映画。胸をえぐられます。

第148回直木賞を受賞作の映画化。就活というテーマを基に必ずあなたも感じたことのある「自意識」を苦しいほどあぶり出します。必見。

 

 

1. きっとあなたも誰かに当てはまる

この映画の登場人物に必ずあなたは当てはまります。「私は違う」とは言わせない。挑戦する人を笑ってしまったり、自分が傷つかないために相手の失敗を望んでしまったり。人間の汚い部分・繊細な部分を自分の「個性」について思い悩む「就活」を舞台に苦しいほど描かれる。

そして、これは学生のためだけの物語ではありません。どの世代においても自分を「観察者」にして守ってしまうことってありませんか?

 

 

2. 驚くほど豪華な俳優陣が映し出す個性

この繊細な感情表現を「佐藤健, 有村架純, 二階堂ふみ, 菅田将暉岡田将生, 山田孝之」という豪華俳優陣が見事に演じます。特に拓人演じる佐藤健の演技が素晴らしかった。セリフが少ないにも関わらず、表情や態度、声のトーンで心の内面の揺らぎやドス黒さを見事に表現しています。

私は原作から入りましたが、頭の中で思い描いていた通りのメンバーでした。隆良が岡田将生というのもはまり役。こういう人いたなぁと思ってしまった次第。

 

3. 監督・脚本の三浦大輔が描く舞台

主人公の拓人、また物語のキーとなる拓人の友人ギンジは演劇サークル所属という設定です。それを劇団ポツドール主宰者の三浦大輔監督が描くというのが、とてもオツ。私は、学生の時ポツドール「愛の渦」を見て衝撃を受けました。今は無き新宿のシアタートップスで見て、演劇という表現の幅広さに感動したわけです。

そんな劇団出身の三浦監督の遊び心が映画にも詰まっています。映画と舞台が融合されていて、下手をすると只々暗いだけで終わってしまう部分をスッキリと観ることができます。

 

映画化されている「愛の渦 」も三浦監督ご本人がメガホンをとっています。こちらも必見。  

愛の渦

愛の渦

 

 

今日の「お気楽映画レビュー」

就活生はSNSの恐怖と自分自身の「自意識」に関する恐怖を再認識のためにぜひ観ていただきたい(自分も学生の時に観たかった)。そして社会人の方にも、自分が観察者になっていないか再点検する上でぜひ観ていただきたい。

人間って心の底で何を考えているかわからなくて、本当に馬鹿な生き物だけど、それが故に愛さずには居られないですよね、という当たり前のことを認識させてくれる映画でもあります。