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サルとイヌの共同ブログ

【お気楽映画レビュー:★★★】『湯を沸かすほどの熱い愛』で引くほど泣いた

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画像:「映画『湯を沸かすほどの熱い愛』オフィシャルサイト」より引用

自分でもドン引きするくらい泣きました。

文句なしで素晴らしかった。鈴木おさむ氏のレビューに偽りなし。海外から観るためにわざわざAmazonビデオで購入した甲斐があったってもんです。

 

1. 家族のつながり

この映画、あらすじだけ読むと「死ぬまでにしたい10のこと」に似ているように見えますが、実際は違います。これは母の深い愛による「献身」の話であり、そして母からの家族への最後のプレゼントであり、さらに「家族って何だ?」と観る人の心に問いかける一作です。

銭湯・幸の湯を営む幸野家。しかし、父が1年前にふらっと出奔し銭湯は休業状態。母・双葉は、持ち前の明るさと強さで、パートをしながら娘を育てていた。そんなある日突然、余命2ヶ月という宣告を受ける。その日から彼女は「絶対にやっておくべきこと」を決め実行していく。【家出した夫を連れ帰り家業の銭湯を再開させる】【気が優しすぎる娘を独り立ちさせる】【娘をある人に会わせる】その母の行動は、家族からすべての秘密を取り払うことになり、彼らはぶつかり合いながらもより強い絆で結びついていく。そして家族は、究極の愛をこめて、母を葬(おく)ることを決意する

  

2. 何よりも深い愛・強い母

宮沢りえ演じる母・双葉の時間を超えた愛情に涙がとまりませんでした。ダメな夫を許し、連れ子を引き取り、自分の娘との間にあるやるせない運命のいたずらを乗り越え、ひたすら残される家族のために。「家族を愛するって何だろう」がこの映画に詰まっています。

 

ネタバレになるので深く書きませんが、家族のルール(この映画では「誰かの誕生日はしゃぶしゃぶを食べる」)って、いつまでも忘れないある種の儀式で自分が家族の一員であるという拠り所だと思うんです。それを通じて連れ子を家族の一員として迎えていくシーンに涙腺崩壊。

 

あとはオダギリジョー演じる本当にダメな父が最後に贈るプレゼント。それを観て初めて弱音を吐く双葉。強い母が本音を一人きりで漏らすシーンに、私の涙腺はポンコツになりました。

 

3. リアルじゃないけど最高にリアル

賛否両論あるであろうラストシーン。でも私はこれってすごいリアルだと思うんですよね。現実にできるかどうかは別にして。素敵な最後だと思いました。このラストシーンで、初めて母・双葉は皆の本当の家族になれたんです。そう思ったら再度涙腺崩壊。

 

さらにこれは残された家族の門出でもある儀式なんです。絶対に一生忘れない儀式。家族だけの秘密。実現性を越した感情面のリアルさに、製作者のこだわりを感じた次第です。

 

またこの映画を引き立てているのは駿河太郎演じる探偵。彼もまた双葉によって背中を押してもらった1人なのです。彼という他者がいることで、この映画はグッと安心感のあるものになりました。

 

今日の「お気楽映画レビュー」

間違いなくオススメ。 とにかくオススメ。もう何も言わず観て欲しい。それだけです。

家族ってやっぱり、いいですね。 

湯を沸かすほどの熱い愛