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サルとイヌの共同ブログ

【お気楽映画レビュー:★★★】「怒り」は、ストーリーよりも感情のディテール

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画像:「映画『怒り』公式サイト」より

文句なしの★3つ。

あまりに上司が絶賛するので、わざわざU-NEXTとセカイVPNの合わせ技でどうにかみました。結論から言うと「素晴らしかった」。

 

Amazonビデオでも観れます。

怒り

怒り

 

 

 

1. ストーリーよりも感情

もちろんストーリーも面白い。一つの殺人事件、その容疑者に共通点のある素性のしれない男3人。最後の最後まで誰かわからない犯人。本当に手に汗握る展開でした。一方で終わって冷静になって振り返ってみると「あそこの設定なんでなんだろう」「そういえば、あの場面きちんと説明されていなかったな」という点もチラホラ。でもそんなのは全く関係ないんです。なぜならこの映画は「感情」の映画だから。ストーリーがどのように展開されるのか、よりもそれに巻き込まれた一人ひとりの感情がどう揺らめいて行くか、に惹きつけられるのです。目を背けたくなるようなシーンもあります。でもそれは遠いフィクションの話ではなくて、実際にありえる話。我々が映画で感じた感情は、その揺さぶりは、現実世界で起き得るのです。

 

2. 圧倒的な演技力の共存

上記の「感情」は、豪華キャストの圧倒的な演技力に支えられています。妻夫木聡綾野剛広瀬すず宮崎あおい、は特に圧巻。この演技力だからこそ、細かい設定が見えてこなくても、演じるキャラクターが1人の人間として捉えることができます。すでに本編が2時間20分と十分に長いですが、もしこの映画がこの影技力に定評のある豪華キャストでなかったら、きっともっとキャラクターの背景部分に時間が取られて長くなっていたことでしょう。

 

3. 人を信じることの難しさ

「怒り」というタイトルですが、この映画の一貫したテーマは「人を信じること」ということです。「信じて裏切られる」「信じることができずに苦しむ」「信じられて苦しむ」「信じられずに悲しむ」といった「信じる」という普遍的な、そして日頃我々が何気なく行っている行為が、極限の場面で人間関係にどういった影響をおよぼすか、それに誘引されて、どのような行動をおこすのか。観ていて胸をえぐられます。

 

今日の「お気楽映画レビュー」

正直、ここまで凄い映画とは思いませんでした。文句なしでオススメできます。映画とは「普段感じない(ようにしている)感情の拡張」だと改めて強く思い知らされた次第です。

 

原作も読んでみようかな。