気休めなもの。役立ちのもの。

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サルとイヌの共同ブログ

溢れる才能 or 熟練された職人技、生き残れるのは?

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料理の世界から考えるキャリア論。

友人がFacebookでシェアしていた有名学生シェフが下積みを飛び越えて一気に人気料理人になった話。

heapsmag.com

時を同じくして斉須氏の「調理場という戦場」を読んでおり、このコントラストはキャリア論を考える上で面白い。  

 

1. 下積みは必要なのか

料理の世界は全く門外漢で知らなかったのですが、若い才能にスポットが当たるのはその世界では珍しくないようです。 

今は、料理人に対するヘッドハンターがうようよしています。少し手先の器用なことをしたら、20代であっても、 「このぐらいのお金を出すから、あの店舗で料理長をやってみませんか?」 と誘いが来るのも珍しくない時代です。 でも、その料理人には、まだ、引き出しがとても少ない。 実戦に使うことのできるバリエーションがすぐに尽きてしまい、飽きられて捨てられる、ということもよくあるケースでしょう。 用無しになれば、無残なものです。数年間のサイクルで首のすげ替えが起こるような世界に入ってしまうことは、残念でしょう?

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ミレニアル世代の私からすると「何十年も下積みするのは信じられない」というのはとても共感。先般、ホリエモン「寿司職人が何年も修行するのはバカ」という発言をしていましたが、それにも大きく頷きました。

 

確かに年数で区切られるのはアホらしい。昔は情報も限られており、また技術のソースが単一的(一子相伝的)だったのかもしれませんが時代は変わりました。むしろそれぞれにセンスと才能があるのだから、それを上司(大将)が把握して人に合わせて次のステップに進ませる、もしくは「卒業」させるのが当然のように思います。

 

一方「すぐに身についたものはすぐに使えなくなる」「誰にでもできる技術はコモデティ」というのも真なり。自分が「戦える武器を身につけた」といえるまでは、習得の鍛錬が必要ということでしょう。

 

2. 学ぶのは料理の技術だけではない

下積みから学ぶものは技術だけではない、という視点も大事です。その下積み生活や修行を通して、様々な人の振る舞い、日々の会話から学べることはたくさんあります。色んな生きた「サンプル」「事例」を見て、自分がどうやって生きていきたいか、どうやって仕事をして行きたいか、という「哲学」を学べるのは大きな財産。

なんで生き方の問題が仕事の問題かと言うと、ぼくが見てきた範囲で言いますと、若い時の才能とか技量には、あんまり差はないからなのです。 結局、才能をどれだけ振りかざしてみても、あまり意味がないと思う。才能はそれを操縦する生き方があってのものですし、生きる姿勢が多くのものを生むからです。

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それぞれ人生の目的は違いますが、きっと「幸せ」になることが共通項。「技術」という視点だけで下積みを捉えるのはもったいないように感じます。これは我々サラリーマンの新人時代に似ていますね。 

若い時は早くゴールしたいと感じているでしょう。 それも、じれったいほどに。 ぼくもかつてはそうでした。でも、早くゴールしないほうがいいんです。 ゴールについては、いい悪いがあるから。 成功を手にしたいというのが人間として当然あり、しかし人は成功を手に入れたとたんに厄介なものを抱えることも確かです。ただ、成功を目指して奮闘している時の自分はすばらしいわけで……。 ゴールとスタートの表裏を持つ生き方を学べるといいなぁと思っています。ゴールに至ったら最高だけど、至ったあとにもスタートした時の気持ちを持っていてほしい。

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3. 今の社会は一瞬でも輝く人を見逃さない

この情報化社会は、なんでも情報が溢れているが故に「目新しいこと」ことが重視されているように感じます。そのためネタとして時流に合えば一気にスポットが当たる。チャンスに溢れています。

 

しかし飽きられるのも物凄く早い。

 

インターネットが無かった頃はもっと上流で淘汰されてしまい、長い間生き残らないと「皆が知っている人」になれなかった。現代の方がある意味でフェアである分、自分の能力がどの程度か、市場価値が本来はどの程度か、日頃から意識する必要がある。このあたりは、料理人のような技術職ではなく、ビジネスマンにも共通して言えることだと感じました。  

 

今日の「役立ち」

「調理場という戦場 」は、ほぼ日ブックスから出ていることもあってか本当に読みやすく、その優しいタッチから親しみに溢れる一作でした。タイムリーだったので有名学生シェフのサクセスストーリーの話と絡めてみましたが、料理人のみならずビジネスマンにとってもキャリアを考える上での至言がたくさん。 

 

そして掃除ってのは本当に大切なのだな、と思い知らされました(笑)。 

今のお店でも、ぼくは掃除を第一にしていますね。掃除ができない人は、何もできないと思います。

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非常にオススメの一作です!