気休めなもの。役立ちのもの。

気休めなもの。役立ちのもの。

サルとイヌの共同ブログ

【未来の働き方】ググっても出てこない「あなたが考えたこと」が求められる

f:id:lkecmlfd:20170413125214j:plain

 

ググって出てくるものだけが情報じゃない!

 

先般、インターン(東大)を受け入れた際に、あまりに「(ググった)正解」ばっかり持ってこられたので、自戒も込めて「考える」 について書きたいと思います。メインの教科書はこちら。

 

 

前提:ググっても出てこない答えが求められている

少し古い記事ですが、今世界に転がっている情報量は、とてつもなく膨大です。そしてそのほとんどがデジタル化されています。

全世界の情報を集めると295エクサバイトに、そのうち94%はデジタル化済み - GIGAZINE

 

気になったことは「ググれば」ほとんどが探せてしまう時代。一方で、情報は玉石混交。過去は、単一の権威的なソース(テレビや新聞)に頼っていましたが、今は手軽に比較できる時代です。

 

かつては物知りが重宝されました。しかし、「今」そしてさらに情報が増えていく「未来」は何でも調べればわかるため、単純に知識量が多いだけの人は淘汰されていくことでしょう(一方で「経験」による「知識」は別。この話はまた次回)。

 

世の中には「過去のデータはあるけれど、誰も将来を予測していない」分野もあります。Read more at location 670

ちきりん. 自分のアタマで考えよう――知識にだまされない思考の技術 . ダイヤモンド社. Kindle 版. 

 

まだ見ぬ将来を生き抜くために、「考える力」は重要ですし、より重要になっていきます。

 

知っている知識で結論ありきで答えを導き出さない。

世の中の多くはポジショントーク

世の中に発信されている情報の多くは何かしらの意図があります。このブログで言えば「個人的な欲求からアウトプットを発信したい」というものです。よって、このサイトでは我々の興味関心がある情報しか発信されません。

 

同様に生命保険のサイトでは「生命保険を売る」ことが目的ですから、「生命保険が役に立たない」とは絶対に言いません。マネタイズを謳っているブログはアフィリエイトで稼いでいますから、提携サイトの悪口は決して言わないでしょう。

 

でもなんであれ良い面と悪い面があるのが普通です。上記のような情報はリテラシーとして疑ったほうが良い。

自分もポジショントークになっていないか?

上記の議論とはレベル感が違いますが、「個人の意見」を述べる時もポジショントークになっている可能性があります。持っている知識を使って、「導きたいことありき」で気づかぬうちに情報を料理してしまっている、というもの。

 

よく知らない分野であれば、革新的なアイデアを寛容に受け入れる人も、自分の専門分野については驚くほど保守的であったりします。保有する知識が多すぎて、どんなに斬新なアイデアを聞いても頭の中からひっぱり出してきた知識によって「そんなことは不可能だ。できるわけがない」と否定してしまうからです。 Read more at location 271

ちきりん. 自分のアタマで考えよう――知識にだまされない思考の技術 . ダイヤモンド社. Kindle 版. 

 

知らない分野であればフレッシュに情報を見て、「考える」ことができても、専門分野では「いや、この分野での定説はこうだから」と頭ごなしに否定してしまいがちです。

 

自分は「そうじゃない」と思いつつ、新人やインターンのフレッシュな意見・アイディアを「こいつわかってない」と切り捨てていませんか?

 

「なぜ?」と「だからなんなの?」

上記の落とし穴(=自分の持っている「知識」に引っ張られない)ためにも、ちきりんは「なぜ?」と「だからなんなの?」の重要性を説きます。

 

データを見たときには、その背景(=データの前段階)を考える「なぜ?」と、そのデータをどう解釈・判断し、対応すべきか、と一歩先(=データの後段階)を考える「だからなんなの?」のふたつの問いを常に頭に浮かべましょう。Read more at location 483

ちきりん. 自分のアタマで考えよう――知識にだまされない思考の技術 . ダイヤモンド社. Kindle 版. 

 

意思決定のための判断基準を「考える」のが先決

判断基準を考える

決まらない無駄な会議の最大の理由は「何を決めるか」と「判断基準」が明確化されていないことにあります。

 

日本の組織でよくある「とりあえず会議」は往々にして前者。「何を決めるか」が決まっていないパターン。無駄な会議の最たるものなので論外です。

 

後者の「判断基準」が決まっていないのは、「制限のフレームワーク」を理解できていないのと同じです。飲み会の一人あたりの会費上限を4000円と決めているのに、銀座の高級店だけ調べても無駄なのと一緒です。

 

「なんとなく関係がありそうだし、どこかで役立ちそうに思える情報を集めている会社員」は、「なんとなく使えそうな食材や調味料を買い物カゴに入れ続ける主婦」と同じですRead more at location 398

ちきりん. 自分のアタマで考えよう――知識にだまされない思考の技術 . ダイヤモンド社. Kindle 版. 

 

ちきりんが書いているとおり「判断基準」を明確化して、それに必要な情報を集めるのが最速の道です。

「判断基準」は慎重に考える

特に革新的なアイディアを生み出すには、「判断基準」を慎重に考える必要があります。なぜなら前項で見たとおり、「判断基準」が自分の「知識」の範囲内で結果ありきで決められている可能性があるからです。

 

気づかぬうちに、自分が導き出したい結果のために「判断基準」をセットしてしまい、それに関連する情報・データしか集めない、という「落とし穴」に引っかからないようにしなければいけません。

 

そのためには、「判断基準」をセットする際にも「なぜ?」「だからなんなの?」の視点を忘れないようにしましょう。

 

決められないのは「判断基準」が多いから

判断基準をセットする際に重要なのは「多くしすぎない」ことです。判断基準が多くなりすぎると、その分集めるデータや分析する事項、シュミレーションが多くなってしまいます。

 

思い切って「判断基準」を2つに絞り込む。それで下した結論が有益でなければ、判断基準をセットし直せば良いだけです。

 

議論が噛み合わない時は「同じレベルか」を見直す

「判断基準」を適切にセットし、必要なデータを集めたにも関わらず、議論が噛み合わない場合があります。その時は「同じレベル」で話しているかを考えましょう。

 

この点は、本の中で出てくる事例が面白いので、気になる人は是非読んでみてください。

 

 

分析の基礎:「比較」と「分解」、後に「視覚化」

「比較」こそスタート地点

人は「比較」しないとわかりません。例えば「スリランカの面積は65,610 km²」と言われも規模感を把握できる人は稀です。しかし「スリランカの面積は65,610 km²で、北海道の8割程度の大きさです」と言われれば、大体の人が規模が掴めます。

 

「比較」の軸は以下が至言なので長いですが、引用します。これ以上付け加えることはありません。

 

ちきりんが社会人として最初に証券会社で働きはじめたとき、先輩に「企業分析の基本は二種類の比較だ。財務データはまず競合他社と比較すること。その次に、過去と現在を時系列に比較すること。まずはそれだけでいい」と教えられました。Read more at location 885

ちきりん. 自分のアタマで考えよう――知識にだまされない思考の技術 . ダイヤモンド社. Kindle 版. 

 

以前に対談させていただいたライフネット生命保険出口治明社長も、いつも「縦と横に見る視点が重要」とおっしゃっています。これも、「縦=時系列比較=歴史的な観点でものごとを見ること」と、「横=他者比較=国際的な視点でものごとを見ること」とのことですから、やはり比較といえばこの二種類を覚えておくべし、ということなのでしょう。Read more at location 885

ちきりん. 自分のアタマで考えよう――知識にだまされない思考の技術 . ダイヤモンド社. Kindle 版. 

 

「分解」でモレなく無理なく

要素を「分解」することも分析で非常に有効です。

 

例えば「素晴らしい旅行に行きたい」という奥さんの希望を考えるとします。旅行先は、星の数ほどありますし、そこでするアクテビティも星の数ほどあるので、途方にくれてしまいそうです。そんな時は要素ごとに分解します。

 

f:id:lkecmlfd:20170413150707p:plain

こうやって分解図にすると検討段階で「モレ」を防ぐことができます。漠然と「素晴らしい」と言われた旅行も、分解していくと奥さんにとって素晴らしいのは「海外旅行でのんびりとビーチで過ごす旅行」ということがわかりました。これに沿って、旅行金額や日数等の「判断基準(制限)」から情報を集めて最終決定すれば、満足度が高い旅行ができるでしょう。

 

ちなみにこの「分解」という考え方は、キャリアやスキルの習得時にも役立ちます。これに関しては以下の本がオススメ。いいデザインも美味しいラーメンも「分解」から生み出されます。

 

視覚化することで「思考の再チェック」

視覚化することは、「説明の上でわかりやすく伝えること」のみに使われがちですが、「アウトプットによる思考の確認」に使うことができます。

 

思考の過程において、自分の考えを「まずは言語化し、次に視覚化する」というふたつのステップで検証することにより、自分の考えの甘かった部分が見つかり、思考をより深めることができるのです!Read more at location 1842  

ちきりん. 自分のアタマで考えよう――知識にだまされない思考の技術 . ダイヤモンド社. Kindle 版. 

 

上に挙げた「 妻のための素晴らしい旅行」は、言語化すると「海外旅行でのんびりとビーチで過ごす旅行」ですが、図に視覚化すると、その検討の過程まで表すことができます。また、今回は簡易的に「国内旅行」や「学び型」について検討していませんが、仕事の場合は、ここにモレ(検討の余地)があることが確認できますね。

 

今日の「役立ち」:自分で考えるといいことがたくさんある

今回のポイントをまとめると以下のとおりです。

  • 今後は「考える力」がより必要になる。ググれる情報はもはやコモデティ
  • 世の中にまだ答えがない将来・モノを生み出すきっかけになる。
  • 「知識」と「思考」をわける。
  • 「判断基準」の思考に時間を割く。
  • 「比較」と「分解」は必須の分析方法。
  • 視覚化は、伝えること・思考のモレを防ぐことに役立つ。
  • 何より「考える」は楽しい!