6年間働いて初めて仕事からオフラインになってわかったこと
6年間で初めて仕事メールからオフラインになってわかったこと。
なんとなく感じていた「モゾモゾ感」
勤め人ですが、新人から6年間、それなりに責任あるプロジェクトを任せてもらってきました。とにかく効率よく仕事を回し、残業もほとんどせず、「それなりに仕事がデキる」と思っていました。
一方で、最近は「なんだか虚しいな」と思うことも。まさに以下のような感じだと、ふとした時に気付きました。
メールは来るたびにチェックし、返信が素早いことと、キーボードの入力が速いことが仕事ができることと勘違いしている。雑務の同時並行に明け暮れているから、本当に重要な仕事は手つかずのまま。その日の仕事を終わらせたのではなく、ある程度の時間になった、という理由で帰宅する。
オフラインにしてみた理由
ちょうど情報セキュリティが厳しくなってきたこともあり、これまでなんとなく許されてきたメールの転送が厳格化。外部からメールを見るためには、会社のパソコンを借りた上で、いくつものパスワードを入力してアクセスしなくてはいけなくなりました。
そんな時に久しぶりの長期間の休暇。せっかくだからオフラインにしてみよう、と思い立ったのです。モゾモゾ感の打破になる期待もありました。
今までの休暇
以前の私は、休暇前にお客さんには「休みに入りますが基本的には毎日メールを見ているので、何かあればいつでも連絡ください」と伝えていました。そして、休み中も朝起きてすぐにメールをチェック、トイレに行く時にチェック、寝る前にチェック、暇な時にチェックチェックチェック。
妻に「スマホばっかり見てるイメージがある」「眉間にシワ寄せてスマホを凝視してばっかり」と言われてしまう始末。
お客さんや上司も私がメールを見ていると知っているので、ガシガシとメールを送ってきます。それに返信するものだから、さらにメールが来る。完全に悪循環です。
オフラインにする準備
やったのは最低限のことのみ。
- メールの転送設定は解除
- 自動不在メール設定
- 緊急連絡先のアップデート(プロジェクトで事故が起きた時のため)
- 休暇中に起きそうなフォロー事項の洗い出し
- 同僚へのフォローのお願い
オフラインにしてみて分かったこと
不安なのは最初だけ
確かに最初は不安です。でもそれは今までの「慣れ」からの卒業ですから当たり前。最初はメールを見ないことで「何か悪いことが起きていたらどうしよう」と思っていましたが、3日も経てばメールを見ないことが普通になりました。人間の適応性ってすごい。
思ったより物事は動かない
休暇明けに思ったことは、「何か起きても大丈夫」ということです。
冗談みたいな話ですが、空港に飛行機が降り立った直後に上司から電話があり、そのまま緊急対応のためオフィスに直行。その後、2日以上休日残業続きで対応していますが、結局のところ休暇中にこの「緊急対応」について見ていても今とのパフォーマンスは変わらなかったと思われるので見てなくてよかったな、と。もしメールを見ていたら、そわそわして、休暇どころじゃなかった。オフラインにすることは、「とにかく休暇が終わったら頑張るというメリハリの覚悟」であると感じました。
さらに言えば、日本のニュースも休暇中は出来る限り見ないようにしていました。真央ちゃん引退を知ってびっくりしましたが、当然ながら私の生活は一ミリも変化しません。世間もそんなに動かないし、自分の生活に大きな変化をもたらすような出来事は、ほぼ起きません。
結局寂しいだけ
休暇中も仕事をしてしまうのって色々な理由があると思います。経営者であれば唯一無二の存在でしょうから、「自分が仕事をしないと潰れる」という状況でしょうが、それなりの規模の会社に勤めていれば、そんなことはありません。むしろ勤め人のメリット。
多くの場合、「責任感」という大義を振り回していますが、結局は「自分が求められていたい」という不安感や寂しさだったりすると思うのです。別に自分が1週間メールを見ないぐらいじゃ、大きな変化はおきません。
オフラインにしてよかったこと
妻との時間
何よりよかったのは、妻との会話に集中できたこと。遠距離海外別居生活のため、休暇は彼女の駐在先で過ごしました。彼女は休暇じゃなかったため、一緒に過ごせるのは昼休みと夜の時間だけでしたが、それでもたくさん会話することができました。
75年に渡る長期の研究から、人間の幸福は「人間関係次第」という結論も導き出されています。
少し古いですが2007年に日本で行われた「幸福度に関する研究~ 経済的豊かさは幸福と関係があるのか ~ 」においても「家族」が一番。
また「夫婦関係満足度とワーク・ライフ・バランス:少子化対策の欠かせない視点」によると、月収10万円と平日16分の夫婦会話は、同じ夫婦関係満足度。
夫の月収がかりに就業時間を減少させることで10万円減ったとしても、その分平日1日当たり16分の夫婦の会話時間が増えるか、妻が平日に夫との食事を大切な時と思える日が毎週1度増えるか、夫の育児分担割合が3%増えれば、同じレベルの夫婦関係満足度を維持できることを意味する。
将来の話や今後の家族生活について時間をかけて話すことができ、私自身も非常に幸福な時間でした。話している時はもちろん、一緒にいる時はスマホを全く触らず。妻も満足だったようです。
情報のインプットと新しいアイディア
メールを見る時間を、これまで読みたかったけれど読めていなかった本を読む時間にも当てました。メールをやっつけるような短期的な達成感はありませんが、モゾモゾ感の解消につながるきっかけを掴めた気がします。ワーク・シフトにもありましたが、現代社会は短期的リターンに偏重しがち。先を見据えた長期的な「自分への投資」の時間を作る重要性を感じました。
またこのインプットに伴い、仕事へのモチベーション・新しいアイディアも湧いてきました。不思議と休暇中は日々の小さい仕事(ミクロ)ではなくて、サブの仕事(マクロ)のアイディアが湧いてくるんですよね。
今日の「役立ち」
休暇中に仕事から離れる・メールを見ない、というのは心理的なブロックであるように感じました。今やメールから離れることは「つながらない権利」でもあります。
まさに日本も「働き方改革」の真っ只中。もしかすると10年後には全く違うワークスタイルになっているかもしれません。その時のための助走期間として、ぜひ皆さんもオフラインになってみてください!